弁理士(企業知財→特許事務所)のブログ

大阪の特許法律事務所に勤務する弁理士(36歳)のブログです。以前は家電メーカにて企業内弁理士として勤務していました。企業時代のことや現在のこと(主に知財関係の内容)を綴っています。

弁理士資格の意味

特許事務所で働く(クライアントの出願を代理する)ためには弁理士資格は必須です。しかしながら、企業知財で働くために弁理士資格は必ずしも必要ではありません。したがって、企業勤務時代、部下が弁理士試験の勉強をすることを必ずしも良しとしない上司も存在しました。

同期や先輩にも弁理士資格を取得する意味がないと考える人が何人かいました。確かに弁理士資格があるから企業内で出世し易いとかそのようなことはなかったように思います。また、弁理士試験は知財実務力を問う試験ではないため、弁理士試験に合格したからといって知財実務を高いレベルで遂行できるわけではありません。そういう点では意味がないのかもしれません。

ただ、個人的には弁理士試験は、知財実務の潜在能力を問う良い試験であると感じています。

短答式試験に合格するためには、難解な条文を十分に理解することが必要です。これは、特許の中間処理において難解な先行技術文献を読み込む力を問うているとも考えられます。

論文式試験に合格するためには、事例を整理し、論文に記載すべき事項(条文の要件/効果)を取捨選択し、論理的な文章にまとめるという作業を短時間で行なうことが必要です。これは、発明者からヒアリングした内容(発明)を整理し、クレームをサポートするために明細書に記載すべき事項を取捨選択し、論理的な文章にまとめるという作業(明細書作成)を短時間で行なう力を問うているとも考えられます。

口述式試験に合格するためには、試験監の質問を十分に理解し、適格に応答することが必要です。これは、発明者や審査官とのコミュニケーション能力を問うているとも考えられます。

弁理士試験に合格したからといって知財実務を高いレベルで遂行できるわけではないというのは正しいと思いますが、処理能力の高い知財担当者(及び事務所員)の多くは弁理士資格を有しているというのもまた事実だと思います(ただ、マネージメントスキルのようなものはまた別ですし、資格を有していなくても優秀な方は沢山いらっしゃいます。)。明日は短答式試験です。受験される方は頑張って下さい。