弁理士(企業知財→特許事務所)のブログ

特許法律事務所に勤務する弁理士(36歳)のブログです。以前は家電メーカにて企業内弁理士として勤務していました。企業時代のことや現在のこと(主に知財関係の内容)を綴っています。

ある知財部の今昔物語

約10年前、私はある電機メーカに入社し、知的財産部に配属になりました。私が配属された課(約30名在籍)の課長は、私が入社する約3年前に技術部門から異動してきたばかりで、知財に関してはそこまで精通していませんでした(因みに、現在は既に退職されています。)。


そういう事情もあって、その課長は、(自分が得意な技術分野に関しては色々と言いたいことがあったようですが)部下の仕事の進め方にはほとんど口を出しませんでした。特に「クレームがうんぬん」みたいな話はまったくなかったです。お陰で結構な無法地帯で、知財担当者にとってはやりたい放題でした(というか、何もやらなくても誰にも文句を言われない状態でした。)。


あまり具体的な話はできませんが、極端な話、何らかの年初計画に対して達成率が10%とかであったとしても、責任をすべて技術部門に押し付けることがまかり通るような雰囲気でした。


そういう状態ですから、各担当者がどういった仕事をするかは完全に個人の裁量に委ねられていました。その結果、知財を通してどのように事業貢献すべきかといった意識は希薄であったように思いますし、実際にほとんど事業貢献できていなかったのではないかと思います。それでも多くの事業は黒字だったし、本当に良い時代だったと思います。


それから9年経って、私が転職する頃、知財部(内のある一部の層)の仕事の進め方は、私が入社した当時とは大きく変わっていました。


たとえば出願一つするにしても、その発明を他社が実施する可能性が高いことをある程度客観的に説明することが求められましたし、そういった発明を発掘できていないことは知財部の責任とされました。


そういう状況でしたので、高い確率で成果を上げられるようにあらゆる業務が仕組み化され、それを遂行すれば多くの人が最大限の成果を上げることができるノウハウが確立されていました。


ただ、その仕組みの厄介な点は、その仕組みその物が結構面倒で余程粘り強い人でないと継続できない点でした。まぁ、その仕組みの問題というか、知財業務の問題なのでしょうが、結局すぐには成果が出ないので、成果が出なくてもコツコツ続けられる人でないと継続できないのですね。その結果、折角良い仕組みがあっても(一部の層を除いて)なかなか成果を出せていなかったように思います。


なかなか一筋縄にはいきませんが、企業知財の組織や業務はここ10年で本当に大きく変わったのではないかと思っています。10年前と比較してかなり忙しくなっているのではないでしょうか。


一方、特許事務所はどうなんでしょう。(弊所は有り難いことに忙しいのですが)世の中の出願件数はかなり減少していますし、少し暇になってきているのでしょうか?


何となく、知財業界のトータルの仕事量は大して変わっていない(もしくは増えている)のだけれど、知財業務の中身が特許事務所系の業務から企業知財系の業務にシフトしているだけなような気もしています。実際のところどうなんでしょう?