初めての転職(知財業界での初体験)
ドクガク(@benrishikoza)様から「弁理士の日記念ブログ企画」(https://benrishikoza.com/blog/benrishinohi2019)にお誘い頂きましたので、久しぶりに記事をアップしたいと思います。今年のテーマは「知財業界での初体験」です。
何について書こうかと思いましたが、自分の人生を振り返ってみると、企業知財部から特許事務所に転職したことが大きな分岐点であったことは間違いないので「初めての転職」について書いてみたいと思います。
目次
1.何故辞めた?
2.何故その事務所を選んだ?
3.こういう点も考慮すべきやったかな?
4.アドバイス
5.その他
本文
1.何故辞めた?
学生時代に弁理士試験に合格しており、いずれは特許事務所に転職しようと新卒時点で考えていました。しかしながら、企業での勤務を通じて、企業でしか感じ得ないであろうやりがいを感じることもでき、結果的に9年間(も?)在籍しました。
何故9年間も在籍した後に辞めるという結論を出したか。私が所属していた企業は、知財担当者だけで1000人以上も在籍しているような大企業でした。その大企業の知的財産部には、本当に様々なバックグラウンドを持った人達が在籍していました。正直、いわゆるプロフェッショナルとは程遠い人も沢山在籍していたように思います。
20代の頃は、頑張ってこの会社の知財部を日本一の知財部にしてやろうなんて思っていました。しかしながら、1人で頑張ったからってどうにかなるものではありません。実際には5人くらいで頑張っていたように思いますが、正直会社に何か実質的な良い変化をもたらすことができたかというと、ほとんど何もできなかったように思います。
そういう状況で、30代も中盤に差し掛かり、このままここに居ていいんかな?と考えるようになりました。逃げではありますが、自分の器では、これ程大きい組織に対して、実質的な良い変化をもたらすことは難しいのではないかと考えるようになりました。
その後、売上げ規模約3000億円の企業知財部(二社)と、特許事務所(大事務所)とに履歴書を送ることになりました。色々と考えましたが、学生時代に思い描いていた道に戻ってみるかと考え、特許事務所への転職を決めました。
2.何故その事務所を選んだ?
正直、東京の事務所に行きたかったです。TM◯とかに行きたかった(笑)ですが、妻が大阪勤務ということもあり、大阪の事務所から選ぶ必要がありました。
ハズレを引かんためにも大手の方が安心と考えていました(給与面、実務レベル面)。特に、最初の勤務先は歴史ある大手にしたいと思っていました。その時点で二択でした(◯山、◯見)。
一方の事務所は企業時代に取引きがあったので、自ずと履歴書を送る先が決まりました。
取引きがあった事務所を選ぶ人と、取引きがあった事務所を選ばない人とがいますが、私は後者でした。企業時代の同僚に頭を下げるのが嫌だというのもありましたが(笑)、企業時代の同僚と今まで通りの友人関係でいられなくなるんじゃないかというのがあり、そういう判断になりました。
3.こういう点も考慮すべきやったかな?
企業時代、基本的には、独力で案件を処理している弁理士にしか依頼していなかったので、弁理士ってそういうもんかなと思っていました。しかしながら、大事務所の場合、なかなか独力では仕事をさせてもらえないことを入所後に初めて知りました。
たとえば、ある程度の勤務期間を経ないとお客様に自分の名前を出すこともできないとか、入所前は想像もしていなかったルールがあったりしました。お客様に嘘をついているような気がして、非常に心苦しかったのを覚えています。
特に、特許事務所というのは、30代中盤で未経験で入ってくる方が大勢おられる職場です。30代中盤が最若手だったりします。企業知財部で9年勤めていたとしても、たとえば、33歳とかだと、事務所での最下層に自然にすっぽり入ることができてしまいます(元上司は弁理士としては後輩だったりするんですけどね(笑))
給料が安いことはそんなに気にならなかったですが、裁量の幅がいつまで経っても広がらないことは非常に気になりました。やはり、どの程度自分の裁量で仕事を回せるのかということは、入所前によく確認しておくべきやったなと思います。
4.アドバイス
結局、自分の裁量の幅が広くなると、給料は上がります。給料が安い場合、裁量の幅は狭いです。
たとえば、特許業界で自由に暴れ回りたいと考えているなら、やはり給料に拘った方がいいんじゃないかなと思います。そういう意味で、転職先を選ぶときに給料の額をよく見るというのは、やりがいのある仕事にありつくという観点からも重要なのではないかなと思います。
5.その他
(私は現在中規模事務所に転職していますが)大手特許事務所において非常に良かったのは、指導担当をしてくれた方が、人格者であり、かつ、高い実務力を持った方だったということです。その方に指導して頂いたお陰で、今何とか独力で仕事を回せていることは間違いありません。
少なくとも私にとっては、大手特許事務所は通るべき道だったんだなと思います。ただ、上記したようなことを予め覚悟した上で、大手特許事務所での生活をエンジョイできればもっと良かったかなとは思いますので、もし今後特許事務所への転職を考えている方がおられましたら参考にして頂ければ。
以上